日本に住んでいる以上、地震と無関係ではいられません。今後30年以内に高い確率で起きるとされる大規模地震のリスクが、各メディアでも指摘されています。そんな中で、これから家を建てようと考えている方、今住んでいる家の耐震性を見直したいと考えている方にとって、「地震に強い家」を知っておくことはとても重要です。
今回は地震に強い家の特徴、耐震構造の基本、耐震等級の違い、さらにコストを抑えつつ耐震性を高めるための具体策まで、幅広くわかりやすく解説していきます。ぜひ最後まで読んで、これからの家づくりや暮らし方にお役に立てば幸いです。
アオイノハコでは全棟で構造の安全性：許容応力度計算を行い、耐震等級3を必須としています。私たちの家づくりへの考え方は以下ページをご参照ください。
地震に強い家とは？
地震に強い家とは、単に基準をクリアしているだけでなく、さらにその先の安全性や、被害を最小限に抑える工夫が施された家を指します。
まず知っておきたいのは、すべての新築住宅は建築基準法により「一定の耐震性能」を持つことが義務づけられているということです。これは震度6強〜7の大地震でも、即座に倒壊・崩壊しないことを目標とした基準です。
しかし、ただ「倒れない」だけでは、家族が安心して暮らし続けるには不十分ですよね。できれば、地震後も住み続けられるレベルの強さがほしい。そこで大切になるのが、耐震性能を示す指標である「耐震等級」と、「建物自体の構造や設計の工夫」です。これから詳しく解説して参ります。
耐震等級の違いを徹底比較
まずは、「地震に強い家」を語る上で外せない耐震等級について解説します。耐震等級は、建物の耐震性能をわかりやすく数値化した指標です。住宅の耐震性能は「耐震等級1〜3」で示され、それぞれの等級によって建物の強さや地震への備えが大きく異なります。
等級1は建築基準法を満たす最低限の耐震性能で、大地震後に倒壊はしないものの、継続使用が困難なケースもあります。等級2はその1.25倍、等級3は最大の1.5倍の耐震強度を持ち、災害時の拠点となる消防署や警察署と同等の強さです。
家族の命と暮らしを守るためには、単なる「基準クリア」ではなく、等級3の取得が安心の指標となります。アオイノハコでは全棟でこの等級3を実現しています。
耐震等級1
耐震等級1は、建築基準法で求められる最低限の強度です。震度6強〜7程度の地震に耐え、倒壊・崩壊しないレベルですが、建物が大きく損傷する可能性は否定できません。
耐震等級2
耐震等級2は、等級1の1.25倍の強度を持ち、主に学校や病院など多くの人が集まる建物に求められる水準です。地震後もある程度住み続けられる可能性が高まります。
耐震等級3
耐震等級3は最も高い強度で、消防署や警察署など防災拠点となる施設に求められるレベルと同等です。震度7クラスの大地震でも、大きな損傷を避け、住み続けられる可能性が非常に高くなります。さらに耐震等級3を取得すると、住宅ローンで金利優遇を受けられたり、地震保険料が割引になったりと、経済的なメリットも大きくなります。
地震に強い家の4つの特徴
次に地震に強い家の特徴について解説します。地震に強い家には、いくつか共通した特徴があります。それは大まかに分けると「形」「高さ」「重さ」「地盤」の4つです。
地震に強い家の形
建物の形は、シンプルな正方形や長方形が地震に強いとされています。理由は、地震の力が建物全体に均等に伝わり、特定の部分に集中しにくいからです。逆に、L字型やコの字型などの複雑な形状は、揺れによる力が偏りやすく、被害が集中しやすくなります。
L字型やコの字型などの家を建てられるときはこれらに留意して「ベタ基礎」を採用して地盤を固めたり、スーパーウォール工法（モノコック構造）を採用するなどの工夫が必要になります。
地震に強い家の高さ
高さについてですが、一般的に建物の高さが高くなるほど揺れも大きくなります。高層ビルで上の階ほど揺れるのと同じ原理です。住宅も同様で、平屋が最も揺れにくく、次いで総2階建てが安定しています。3階建て以上の場合は、特に耐震設計に注意が必要です。
地震に強い家の重さ
建物の重さも無視できない要素です。地震の際、建物には慣性の力が働きます。この力は重さに比例するため、重い建物ほど大きな力を受けることになります。つまり、できるだけ軽い建物の方が、地震に対して有利なのです。
日本古来の木造住宅は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造に比べて軽く、耐震性を高めやすいと言えます。アオイノハコでは、木造では最高の耐震性能を誇る「壁倍率5倍」のパネルを採用しています。
地震に強い家の地盤
そして地盤の強さも極めて重要です。どれだけ建物自体が丈夫でも、軟弱な地盤の上に建っていれば、地震の揺れによる沈下や傾きのリスクが高まります。地盤調査をしっかり行い、必要に応じて地盤改良工事を行うことが、安全な家づくりには欠かせません。
耐震構造の基本と代表的な工法
耐震構造にはいくつかの基本的な考え方と工法がありますが、ここでは住宅によく使われる代表例を4つご紹介します。
在来軸組工法
昔から使われてきたのは「在来軸組工法」と呼ばれる木造建築で、柱と梁を組み合わせて骨組みを作り、その間に「筋交い（すじかい）」を入れて強度を高める方法です。ただし、筋交いは力を「点」で受け止めるため、大きな地震では局所的に弱点が生まれやすい欠点があります。
この欠点をカバーするためには、適切な耐震設計や補強（筋交いや耐力壁の配置など）が必要となります。また、大工の技術によって耐震性に差が出る可能性もあります。そのため、図面上の数値だけでなく、実際の施工精度や現場での管理体制も非常に重要です。
アオイノハコでは、構造計算に基づいた緻密な設計に加え、現場経験豊富な職人による丁寧な施工を徹底しています。
モノコック構造
モノコック構造とは、壁・床・天井が一体化した箱形を構成する構造で、もともとは航空機や自動車のボディ技術から発達したものです。大きな外力にも変形しにくいという特性があり、住宅においては地震や台風などの力が接合部に集中せず、建物全体に分散されるため、ひずみやくるいに対して高い耐久性を発揮します。
モノコック構造を採用した建築工法で代表的なものが、LIXILが開発したスーパーウォール工法（SW工法）です。スーパーウォールと呼ばれる独自の高性能パネル（制震性能あり）を筋交い部分に組み合わせることで、線ではなく面で揺れを分散します。アオイノハコでもスーパーウォール工法を積極的に採用しています。
ツーバイフォー（2×4）工法
ツーバイフォー（2×4）工法とは、床・壁・天井の「面」で建物を支える構造工法です。前述のモノコック工法の1種です。断面が2×4インチの角材を使うことから、この名がついています。「枠組壁工法」とも呼ばれ、地震や台風などの外力を面全体で受け止めて分散するため、構造的に高い安定性が確保できます。
また従来のツーバイフォー工法と「耐力面材」を組み合わせた工法も近年主流となってきています。耐力面材は、壁全体で力を受け止めるため、変形が少なく、建物の強度を高めることができます。
布基礎とベタ基礎
基礎についても、従来の「布基礎」より「ベタ基礎」が地震に強いとされています。ベタ基礎は建物の床下全体を鉄筋コンクリートで覆うため、地盤からの力を均等に受け止め、不同沈下や傾きを防ぎやすい構造です。つまり、耐震性を高めるには「面で支える構造」にすることがカギなのです。
ただし、ベタ基礎は、布基礎と比較して、使用するコンクリートと鉄筋の量が多く、残土処理費用もかかるため、施工費用が高くなります。また、寒冷地では、地面の凍結による凍上現象で基礎が持ち上げられ、建物に損傷を与える可能性があるため、注意が必要です。
そのため、地域の気候や地盤条件に応じた基礎仕様の選定が重要になります。アオイノハコでは、地盤調査の結果を踏まえた最適な基礎設計を行い、必要に応じて断熱材の敷設や凍結深度を考慮した施工方法を採用しています。
コストを抑えて耐震性を高める方法
これまでの説明を聞くと「耐震性能を高めるにはコストがかかる」というイメージがあるかもしれません。しかし、工夫次第で無駄な費用をかけず、しっかりと地震に強い家づくりをすることは可能です。
新築の場合は、在来軸組工法（木造）× モノコック構造
まず、新築住宅であれば「在来軸組工法（木造）× モノコック構造」という組み合わせがもっともコストパフォーマンスに優れています。木造住宅はもともと軽く、施工性が高いため、鉄筋コンクリート造に比べて建築コストを抑えやすい特徴があります。
そこにモノコック構造（スーパーウォールやその他の耐力面材）を加えることで、筋交いだけでは得られない「面で支える強さ」がプラスされ、耐震等級3の取得が現実的になります。
耐震リフォーム
耐震リフォームとは、地震発生時の倒壊や損傷を防ぐことを目的に、住宅の耐震性能を高めるための改修工事です。主な対策としては、壁の補強、屋根の軽量化、筋交いの追加などがあり、建物の構造や劣化状況、予算に応じて最適な方法が選ぶことができます。
アオイノハコでも耐震リフォームを承っておりますのでお気軽にご相談くだい。
補助金・助成金制度
自治体によっては、耐震診断や耐震改修に対して助成金制度を設けているところもあります。地域によって支給条件や金額は異なりますが、100万円近い補助が受けられることもあるため、必ずチェックしておきたいポイントです。
アオイノハコでは各種住宅補助金の取得もサポートしております。補助金取得の詳細や流れは以下のページをご参照ください。
地震保険の保険の見直し
最後に、耐震性を高めた家は地震保険にもメリットがあることを抑えておきましょう。耐震等級2以上を取得していれば、地震保険料が割引される可能性があります。そのため、耐震性能を高める家作りを考えるときは、どのような保険があるのか調べておきましょう。
地震保険を見直すことで、長期的な目線でコストパフォーマンスを考えることができます。アオイノハコでは、新築の際にファイナンシャルプランナーと連携してプランを計画します。アオイノハコでの注文住宅が完成するまでの流れはこちらをご参照ください。
アオイノハコのモデルハウス見学ではスーパーウォール工法を採用した家をご見学いただけます
アオイノハコのモデルハウス見学では、スーパーウォール工法を採用した家をご見学いただけます。見学では実際の室内温度や空気の質もご確認いただけますので、ぜひご自身の五感でその快適さをご体験ください。
ご参加は無料となっておりますのでぜひ、一番最初のモデルハウス見学先としてお気軽にお越しいただけますと幸いです。モデルハウス見学の様子はYouTubeでもご覧いただけます。ぜひこちらもご覧ください。
まとめ
地震に強い家をつくるには、いくつかの基本ルールがあります。形はシンプルに、高さは低く、建物は軽く、そして強い地盤の上に建てること。これらに加えて、耐震等級3を目指した設計が、将来にわたる安心を支えてくれます。
耐震等級を上げることは、単に災害時の安全だけでなく、住宅ローンの金利優遇や保険料割引といった経済的なメリットももたらします。
もし「これから建てる家は大丈夫かな？」と少しでも不安を感じたら、まずは具体的なアクションを起こしてみましょう。たとえば、自治体の無料耐震診断サービスを利用するのも良いでしょう。また、これから新築を考えている場合は、設計段階から「耐震等級3の家を建てたい」とハウスメーカーや設計士に希望を伝えておくことが大切です。
すでに家を持っている人も、耐震リフォームによって大きく性能を向上させることができます。例えば、まずは1階部分の壁補強から始めるなど、段階的な対策も可能です。
いつ起きるかわからない地震に対して、私たちができる最良の備えは「行動すること」です。アオイノハコでも地震に強い家づくりに関して、なんでもご相談を承っています。ぜひお気軽にお問い合わせください。
