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注文住宅の収納はこう決める!後悔しない収納計画の考え方とポイントを解説します

収納計画の考え方

注文住宅を建てたあと、多くの人が「収納」で後悔していると耳にします。「もっと収納を増やしておけばよかった」「思ったより使いにくい場所に収納がある」など、住んでから気づく失敗は意外と多いもの。私たちに日々寄せされるリフォームのご相談の中でも収納や動線に関するご相談が多いです。

せっかく自由に間取りを決められる注文住宅ですから、満足のいく暮らしのためにも収納計画は早い段階からしっかり考えておくことが大切です。今回は注文住宅での収納計画の立て方や、失敗を防ぐポイント、間取りの工夫などを解説します。これから家づくりを始める方は、ぜひ参考にしてくださいね。

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注文住宅における収納計画の基本ステップ

注文住宅における収納計画は、「どれくらい必要か」ではなく「どう使うか」から考えるのがコツです。まずは以下の3ステップで整理してみましょう。

1. 持ち物の種類と量を把握する

まずは、今ある持ち物を見直すことから。洋服、本、キッチン用品、趣味の道具など、種類ごとにリストアップすると、収納に必要なサイズ感や量が見えてきます。家族全体の持ち物を把握しておきましょう。その上で、リストアップした物を「よく使うもの」「たまに使うもの」「ほとんど使わないもの」など、使用頻度に応じて分類します。

そうすることで、それぞれの持ち物をどこに収納するべきかが見えてきます。たとえば「家族全員がよく使うもの」であれば、取り出しやすい収納棚やリビングの収納スペースに。たまに使う季節用品などは、普段人目につかないパントリースペースや納戸などにしまうのが適しています。

2. ライフスタイルを見据え将来増える物を予測する

子どもの成長や趣味の変化などで、持ち物は徐々に増えていきます。そのためそれらを踏まえて少し余裕のある収納スペースを確保しておくと安心です。子どもたちが成長して家を出ていったり、将来的に二世帯住宅として使う可能性がある場合など、将来的な変化まで見据えた収納計画ができると、無駄のない、長く快適に暮らせる住まいづくりにつながります。

アオイノハコ代表の横山が実際に住んでいるモデルハウスでは将来二世帯住宅になることを想定して、1階部分と2階部分にそれぞれ十分な収納スペースを設けております。(将来は1階が自分たちの住まい、2階が子ども世代の住まいになる予定です)このような設計を最初から折り込むことで、将来的まで安心できる家づくりに繋がります。

家族の人数やライフスタイルによって、必要な収納の場所や量は変わります。家族の「今」と「これから」を見据えて、必要な収納を考えていきましょう。以下に考え方の一例を上げてみます。

ライフスタイル 収納の考え方
共働き家庭 家事に負担を減らせるように家事動線に沿ってパントリーやランドリー収納を配置する
子育て家庭(幼児) おもちゃやおむつをすぐ片づけたい。リビング近くに収納を配置する
子育て家庭(学齢期) 勉強道具・衣類の急増に対応できるよう収納棚を設置する場所を確保しておく
高齢者との同居 座ったままでも使える低位置の収納、軽い動作で使える収納にする
在宅ワークが多い家庭 書類・PC周辺機器の収納、壁面を活用したワークスペースなどを採用する

3. 使う場所の近くに収納を設ける

私たちアオイノハコでは収納計画は「しまう場所」ではなく「使うための場所」と考えています。当然、使う場所の近くに収納があると、出し入れがスムーズで暮らしやすくなります。たとえば、ファミリークロークの一角に、仮置き棚(ちょっと置いておける棚)があるだけで、散らかりにくくなり、片付けのハードルがぐっと下がります。日々の暮らしの中で“とりあえず置く場所”が決まっていると、自然と家が整う感覚があります。

掃除用品も同じ考え方です。我が家のスタイルは、「気づいたときに、気づいた場所を少しだけ」。だからこそ、掃除道具はLDKの片隅やファミリークロークの入口など、すぐ手が届く場所に配置しました。あえて隠さず、出し入れしやすくしておくことで、「今やっておこう」が無理なくできるように。頑張りすぎず、自然と整う。その仕組みこそが、心地よい暮らしを長く支えてくれています。

どんな収納をつくるべき?家の場所別アイデア集

先ほどもお伝えしたとおり、収納計画は、家のどこにどれだけあるかという単純な考え方ではなく、“どの場所でどんな使い方をするか”がポイントになります。スッキリ片付く使いやすいお家の特徴は、動線の途中・動線の先に必要な収納があることです。

実際に私たちが収納計画をご提案する際によくご紹介しているアイデアをご紹介します。それぞれの空間に、使う物を使う場所の近くに収納するという発想がポイントです。

場所 おすすめ収納アイデア メリット
玄関 シューズクローク、土間収納 靴やアウトドア用品、防災グッズもまとめて収納可能
キッチン 造作収納棚、壁面収納 食材・調理器具をすっきり整理でき、家事動線もラク
リビング 壁面収納、小上がりの床下収納 空間を圧迫せず、日用品の整理がしやすい
ファミリークローク ランドリー収納、ファミリークローク 洗濯→干す→しまうが一連の流れで完結できる

玄関のシューズクローク、土間収納

玄関のシューズクローク

アオイノハコのモデルハウスには、来客用と家族用の2つの玄関があります。家族用の玄関には広々とした土間収納を設けています。キャンプ道具やゴルフバッグ、スキー用品などの趣味のアイテムはもちろん、日常的に使うゴミ袋や防災用品などもすっきりと収まります。

大きめの下足収納

さらに、大きめの下足収納に加えて、アウター用のクローゼットも備えているため、外出や帰宅時の動線がスムーズに。毎日の暮らしがより快適になる工夫が詰まったスペースです。

キッチン付近の壁面収納

注文住宅の導線設計

キッチンまわりの収納には特にこだわり、造作家具を作成いたしました。あらかじめ収納する食器の種類や量を予想し、家族の共用スペースをなるべく広く取るため、収納部分は必要最小限の奥行で設計しました。普段使いのお茶碗やカトラリー類は、ひとまとめにして使いやすく配置されており、そのすぐ隣には、毎日の食事に使うトレーや食器類を収納。

キッチン周りの収納計画

調理後に家族それぞれがこの収納から準備を始められるようになっており、動線が重ならず、スムーズに食卓の準備が進められる工夫がされています。また、我が家のキッチンの特長のひとつは、調理スペースに包丁や調理器具を置ける専用のスペースを確保している点です。そのため、通常よりも腰壁の高さを少し高めに設計しています。作業中も道具が手に取りやすく、見た目もすっきりと整う工夫です。

リビングに設けた壁面収納や見せる収納

リビングの見せる収納

リビングに設けた壁面収納は、家族みんなが使う日用品をまとめて管理するためのスペースです。ちょうど生活動線の途中に配置しているため、誰でも使ったものをすぐに戻しやすく、自然と片付けの習慣が身につくよう工夫しています。また、扉を閉めると壁のように見えるデザインになっており、生活感を抑えながら、必要な物はしっかりしまえる工夫がされています。

注文住宅の造作本棚

さらに、見せる収納として本棚を設けました。本をいつでも目に入る場所に置くことで、子どもたちが気が向いたときに自然と本を手に取るようになり、読書が日常の一部になるよう工夫しています。その他にもテレビ台のしたの収納スペースやテラスへとつながる箇所にベンチを設計し「小上がりの床下収納」をつけるなど細かい収納スペースを沢山設置しています。

ファミリークローク

注文住宅のおしゃれなファミリークローク

ファミリークロークは洗濯の動線を快適にするため特におすすめです。また洗濯機の近くに収納スペースを設けることもおすすめです。アオイノハコのモデルハウスでは、浴室の手前にランドリールームと脱衣室を兼ねたスペースを確保しました。

家事動線を意識したランドリールーム

洗濯機のすぐ隣に物干しスペースを設けることで、「洗ったらすぐ干す」「乾いたらすぐ収納」ができる動線を実現しています。そして、下着やタオルなどは別として、衣類は干す場所としまう場所は分けます。クローク内に湿気が充満するとカビ発生の心配があるためです。

そうすることで、タオルや下着などはその場で片付き、最小限の動きで家事が完結するよう工夫された、小さくても頼もしい家事スペースです。

アオイノハコのモデルハウス見学ではこうした収納や家事動線のアイデアが詰まった”実際に暮らす家”をご見学いただけます。ぜひお気軽にお越しください。またYouTubeでもモデルハウスをご紹介していますので、こちらもご参照いただけますと幸いです。

よくある収納の失敗例とその対策

注文住宅の収納でよくある後悔の声には、共通したポイントがあると思います。自由に設計できるはずの注文住宅でも、実際に住んでみて初めて気づくことって多いものです。アオイノハコにご相談が寄せられるよくある5つの失敗例と、その対策についてご紹介します。収納で後悔しないためのヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。

1. 開閉スペースを考慮していない、動線の邪魔になる

収納の扉を開けたときに、通路をふさいでしまったり、近くの家具にぶつかってしまったり…というケースが良くあるそうです。毎日のことだから、ちょっとしたストレスになりますよね。解決策としては、 引き戸や折れ戸、ロールカーテンなど、開閉にスペースを取らないタイプを選ぶのが効果的。また、扉の開く方向にも注意して、動線上に干渉しないように収納の位置を計画することがポイントです。

2. 使う場所から遠い収納になっている

「洗剤のストックが2階にしかなくて、1階で使うときに毎回取りに行くのが面倒…」なんて、小さな不満も意外と多いものです。収納は“たくさんあればOK”ではなく、「使う場所の近くにある」ことがとても大切。使うタイミングや場所に合わせて収納を配置することで、日々の家事や暮らしのストレスをぐっと減らすことができます。

3. 奥行きが深すぎて使いづらい

収納の奥行きが深すぎると、奥の物が取り出しにくくなったり、存在を忘れて同じものをまた買ってしまった…なんてこともよくあります。対策としては、 奥行きは浅めにするのが基本です。また一つの収納スペースに沢山ものを詰め込む設計にするのではなく、必要な場所に必要なモノを配置することもおすすめです。

4. デザイン性を損なっている

収納ばかりに気を取られてしまい、気づけば部屋全体がゴチャついた印象に…なんてこともあります。収納は多ければいいというわけではなく、空間とのバランスが大切です。ポイントは、 “見せる収納”と“隠す収納”をうまく使い分けること。よく使うものは見せてスッと取り出せるように、生活感の出やすいものは扉の中に隠してスッキリと。メリハリをつけることで、片付けやすく、おしゃれな空間に仕上がります。

5. 将来の変化に対応できない

収納は、今の暮らしに合っているだけでなく、家族構成やライフスタイルの変化にも対応できると安心です。子どもが成長したり、趣味や仕事が変わったりと、住まいの使い方は少しずつ変わっていきます。そこでおすすめなのが、 可動式間仕切り壁やロールスクリーンを採用することです。間取りを柔軟に使い方を変えられる設備を取り入れると将来の変化を見越した収納計画が立てやすくなります。

快適な収納には“生活動線”との連携が欠かせない

生活動線

収納は生活動線と一体で考える必要があります。生活動線とは、朝起きてから夜寝るまでの間に家の中をどのように移動するか、という日常の行動パターンのこと。収納をこの動線の中に組み込むことで、「使いたいときにすぐ使える」「片付けが面倒にならない」などの快適な暮らしが実現できます。

たとえば、帰宅後の動線に沿って玄関にコートやカバンを収納するスペースを設ければ、リビングに物が散らかりにくくなります。キッチンでの作業動線上にパントリーを設けることで、食材の出し入れがスムーズになり、料理の効率もアップします。

  • 洗濯→干す→しまう までの流れが1か所で完結できると家事がラク
  • 玄関からシューズクローク→キッチンの動線にパントリーを組み込むと便利
  • 子どものランドセルや学用品は、帰ってすぐ収納できる場所に

このように、生活動線の中に収納を組み込むことで、“片づけやすい家”になります。

どれくらい収納スペースがあればいい?面積の目安と考え方

収納エリアの目安

「収納は多い方が安心」と思いがちですが、適量を知ることも大切です。注文住宅における収納スペースは、建物全体のおおよそ15%前後が目安とされています。たとえば、延床30坪(約100㎡)の家であれば、およそ4.5坪(15㎡)程度の収納が理想です。

とはいえ、趣味が多い方や子どもが小さい家庭では、一般的な目安よりも多めに確保したほうが暮らしやすくなります。逆に、物をあまり持たないミニマリスト志向の方なら、目安より少なめでも問題ない場合があります。収納が多すぎると居室が狭くなる・建築コストが増えるというデメリットもあるため、バランスが大切です。

まとめ|努力しなくても片づく家は収納計画から始まる

注文住宅の収納計画

注文住宅での収納計画は、家づくりの満足度を大きく左右する重要な要素です。単に「たくさん収納できる家」ではなく、「どこに・どんな風に収納するか」を丁寧に考えることが、暮らしやすさに直結します。

家族構成やライフスタイルに合わせた収納の配置、将来の変化を見越した可変性のある収納スペース、そして見た目と機能のバランスを意識したデザイン。これらすべてが整ってこそ、片付けがしやすく、居心地の良い住まいが完成します。

さらに、収納は日々の家事や生活動線とも密接に関係しているため、他の間取りと連動して考えることが大切です。建築会社や設計士とよく相談しながら、自分たちの暮らし方にぴったり合った収納計画を立てましょう。アオイノハコでは、収納計画を重視しながら、長期にわたって快適に暮らせる設計を心がけています。

収納が整えば、心も暮らしもすっきりと整います。満足感のつづく暮らしのためにも、ぜひ収納計画にもこだわりを持って、後悔のない注文住宅の購入を叶えてくださいね。

初めて注文住宅を建てる際に知っておきたい基本情報